運営方針・重要事項

コンプライアンス態勢とリスク管理態勢

内部統制基本方針

当金庫におきましては、信用金庫法第36条第5項第5号および同法施行規則第23条により、業務の健全性・適切性を確保するため「内部統制基本方針」を制定し、業務の執行に際し整備すべき態勢として「コンプライアンス態勢」、「統合的リスク管理態勢」、ならびに「内部監査態勢」等について明確に定め、コンプライアンスの徹底とリスク管理の強化に努めております。

コンプライアンス態勢

コンプライアンスに対する基本方針・運営体制

当金庫では、コンプライアンス実現のための基本方針として「東京信用金庫行動綱領」、すべての役職員が遵守すべき行動指針として「コンプライアンス手引」を制定し、法令や諸規程の遵守はもちろんのこと、社会的規範にもとることのない誠実・公正な企業活動に徹しております。

コンプライアンスの重要性については、経営トップ自ら、年頭所感や店長会議等の主要な会議で全役職員に対して徹底するとともに、理事長を委員長とするコンプライアンス委員会において、毎年度、実践的な施策を取りまとめたコンプライアンス・プログラムを策定し、その進捗状況を定期的にフォローしており、3ヵ年中期経営計画や各年度の事業計画等の中においても、各種施策を織り込み、コンプライアンス態勢の整備・強化に努めております。

また、各部室店にコンプライアンス推進役を配置し、コンプライアンスに関する情報の周知や意識の高揚を図り、法令・ルール違反の防止、お客さまからのご相談等に適切に対応できる態勢を整備しております。

平成30年7月に、コンプライアンス態勢のさらなる強化と、より専門性の高い業務への対応を目的として、「コンプライアンス統括室」を設置しました。

マネー・ローンダリングおよびテロ資金供与対策管理態勢

当金庫では、マネー・ローンダリングおよびテロ資金供与(以下、「マネロン・テロ資金供与」という。)対策を経営の重要課題と位置付けており、3ヵ年中期経営計画やコンプライアンス・プログラムの基本課題に掲げ、その取組みを強化しております。

コンプライアンス委員会の下部組織として、本部各部室の委員により構成する「マネー・ローンダリングおよびテロ資金供与対策委員会」を設置し、全金庫的な対応を進めております。

さらに、マネロン・テロ資金供与対策に関する重要事項を理事会・常勤役員会において協議、決定するなど、経営陣が積極的に関与する体制となっております。

また、マネロン・テロ資金供与対策に係る方針・手続・計画等を規定した「AML/CFT 基本方針」を制定し、当金庫が直面するマネロン・テロ資金供与リスクを特定、評価し、これを実効的に低減するための対策を講じる、いわゆるリスクベース・アプローチを実施する等、マネロン・テロ資金供与対策の実効性向上に努めております。

統合的リスク管理態勢

当金庫を取り巻く金融環境は、金融技術の進展により、高度化、複雑化し、これまでのリスク管理の観点では捉えられないリスクに晒されております。

こうしたことから、当金庫では、「統合的リスク管理方針」等に基づき、経営の健全性、安全性を確保することを目的に、当金庫が直面するさまざまなリスクを総体的に捉え、経営体力(自己資本)と比較・対照するなど、「統合的リスク管理態勢」の強化を図っており、理事長を委員長とする「ALM・リスク管理委員会」などを通じて、適切なリスクコントロールを行っております。

信用リスク

信用リスクとは、ご融資先の経営状態が悪化し、貸出資産(ご融資元利金)の回収ができなくなることにより損失を被るリスクをいい、金融機関が晒されるリスクの中で最も重要かつ基本的なリスクです。

当金庫では、営業推進部門等から審査・管理の独立性を確保するため、業務推進部、融資部にそれぞれ担当役員を配置するとともに、「信用リスク管理規程」等に基づき態勢整備を図るなど、信用リスク管理に積極的に取組んでおります。

また、中小企業金融円滑化法の期限到来後も引き続き、コンサルティング機能(ご融資先に対する経営相談・経営指導、経営改善計画の策定支援、進捗状況のモニタリング実施等)の具体的な実践に取組み、信用リスクの軽減を図っております。さらに、「総合信用リスク管理システム」を活用して、信用リスク量の計量化など、信用リスク管理の高度化を図り、より強固な信用リスク管理態勢の構築に努めております。

市場リスク

市場リスクとは、金利や為替などの変動により、保有する資産・負債の価値ならびに資産・負債から生み出される収益が変動し、損失を被るリスクをいいます。

当金庫では、ALM・リスク管理委員会および市場資産運用方針会議において、市場リスク量の計測、評価などを行い、運用・調達の方針を策定して、リスク管理を行っております。また、市場部門(フロント部門)への牽制機能を充実強化させるため、独立した部署であるリスク管理部がミドル部門として「市場リスク管理規程」等に基づき、運用基準・限度枠管理等に対する遵守状況を検証するなど適切にリスクをコントロールし、予期せぬ損失の発生を防止する管理態勢の強化を図っております。

流動性リスク

流動性リスクとは、運用と調達のミスマッチや風評等による予期せぬ資金の流失などにより資金不足に陥るリスクをいいます。流動性リスクにつきましては、「流動性リスク管理規程」等に基づき、運用と調達の日々の管理により、流動性、安定性に留意した資金繰り態勢を確立しており、不測の事態への対応につきましても、即日資金化可能な資金手当の方法を定めるなど、迅速・適切に対応できる態勢を整えております。

オペレーショナル・リスク

オペレーショナル・リスクとは、事務事故、システム障害、役職員の不正行為等により損失を被るリスクをいい、事務リスク、システムリスク、法務リスク、風評リスク、人的リスク、有形資産リスクなどが挙げられます。

事務リスク

事務リスクとは、事務処理上のミスや不正の発生により損失を被るリスクをいいます。

当金庫では、お客さまの信頼にお応えするため、役職員一人ひとりが事務リスクを十分に認識し、「各種事務取扱規程」や「事務リスク管理規程」等に則した正確な事務処理を行っております。また、債権書類の本部集中管理を行うなど、営業店での事務処理を極力本部に集中することにより事務の堅確化を図っております。さらに、事務部による営業店の事務臨店指導、監査部による営業店の内部管理全般に対する実査を通じて、事務リスクの管理状況を評価するなど、事務リスク管理の精度向上に努めております。

システムリスク

システムリスクとは、コンピュータシステムの停止や誤作動、または、コンピュータシステムが不正に利用されることにより損失を被るリスクのことであり、当金庫では、「システムリスク管理規程」等に基づき、システムリスクの管理運営を行っております。

当金庫の業務処理の中核を担う勘定処理システムは信用金庫業界が設立した「しんきん共同センター」のシステムを使用しており、共同利用の強みを活かした大型コンピュータの利用により高度な信頼性を実現しております。さらに大規模な地震や万一のシステム障害に備えたバックアップセンターを遠隔地に設置する等、基幹システムの安全対策に万全を期しております。また、「大規模災害等に備えた訓練」を実施するなど、システムリスクに対する管理態勢を整備しているほか、サイバーセキュリティ管理要領等を制定するなど、サイバーセキュリティ対策の向上に努めております。

法務リスク

法務リスクとは、法令・庫内規程等に違反する行為ならびにそのおそれのある行為が発生することで、当金庫が信用を失墜したり、損失を被るリスクをいいます。

法務リスクについては、法令等の制定・改正に的確に対応するため、「法務リスク管理規程」や「リーガルチェック・マニュアル」等に則り、各種契約や広告等の内容の適法性や妥当性を顧問弁護士と連携して検証するなど、リーガルチェック態勢の運用・強化に努めております。

風評リスク

風評リスクとは、インターネットの掲示板、携帯電話のメール等による根拠のないうわさの流布、または、マスコミの報道等によるお客さま離れ等によって損失を被るリスクをいいます。

当金庫では、平時から経営情報を積極的に開示するとともに、「風評リスク管理規程」等に基づき、当金庫ならびに当金庫子会社における、風評リスクに備えた危機管理態勢の整備に努めております。

人的リスク

人的リスクとは、人事運営上の不公平・不公正や差別的行為(ハラスメント等)により、当金庫が損失・損害を被るリスクをいいます。

当金庫では、「人的リスク管理規程」等に基づき、公正な人事運営に努めるとともに、人的リスクの的確な把握と管理を通じて業務の適切性を確保するなど、適切な人的リスク管理を行っております。

有形資産リスク

有形資産リスクとは、災害、その他の事象から生じる建物・什器・設備等の資産の毀損・損害や、業務運営環境の質の低下等により当金庫が損失を被るリスクをいいます。

当金庫では、「有形資産リスク管理規程」等に基づき、有形資産リスクの的確な把握と管理を通じて、災害等で被るリスクを極力低減化できるよう、建物の耐震診断および耐震補強や定期的な設備の点検等を実施し、管理態勢の強化を図っております。

東京信用金庫のリスク管理体制図

内部監査態勢

内部監査を実施する監査部は理事会直轄の部として、各部室店(被監査部門)から完全に独立した組織となっております。内部監査は、本部各部室および営業店、子会社を対象に、コンプライアンス態勢、内部管理態勢(リスク管理態勢を含む)の適切性、有効性を検証し、必要に応じて改善指導を行っております。また、「財務諸表の正確性、内部監査の有効性についての経営者責任の明確化」を図るため、財務諸表の作成プロセスに対する検証を行っているほか、多様な金融新商品の取り扱い拡大等に伴い、お客さまへの説明責任が果たされているか、個人情報の適切な保護と利用が図られているか、利益相反行為に抵触することはないかなど、監査手法・項目の見直しを随時行い、お客さま保護の観点に立った監査を実施しております。